marieエッセイ「絵を描く楽しさを知った4年間」

2019/09/13 by

ピカレスク参加アーティスト、marieさんからエッセイが届きました。

marieさんの作品世界と合わせてお楽しみいただけますと幸いです。ぜひご高覧ください。

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母姉が美大卒、父もここ20年趣味で油絵を描いている。環境もあり、私も昔から絵を描くのが好きだった。

そんな私がより絵を描く楽しさを知ったのは、今から10年も前の大学生の頃に遡る。

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「そんな同じ変な絵ばっか描いてるからダメなのよ」

京都賀茂川の河川敷で、落ち込み呆然と佇む私に母が言った。

というのも、たった30分前に滑り止めの大学を落ちた事を知り、明日は本命の美大試験の日だったからだ。

もちろん、私はその変な絵で挑もうとしていた。

落ち込む我が娘に言うことそれ?!とも思ったし何より明日その絵で受験するのに、今更何を言ってくれてんだ!と焦りを通り越して漠然としていた。

美大の試験内容の絵のテーマは、当日知らされるためアドリブ力に自信のない私は、一つの絵の構図に絞り、根本の絵の構図はそのままでテーマによって変えていた。

もうここまできたら貫くしかない!とその同じ絵で当日挑み、何とか合格できた。

3大学で計6学部受験し1個だけ無事受かり、京都の美大に4年間お世話になる事になった。

私が通うコースは、デザインコースでパソコンを使う他、写真やイラスト、プロダクトなど様々な事を教えてくれた。

その中でも、私はアナログで絵を描く事が1番好きだった。

なので4年間は、自分の好きな絵を描く事に一番時間を費やし、グループ展や二人展にも出展した。卒業制作では嬉しい事に賞もいただいた。

入学して暫くは1クラス60名な上、個性が詰まりに詰まった美大生にアウェイ感を感じていたけれど、

卒業の頃にはだいぶ馴染む事ができ居心地の良い学生生活を送れるようになった。

美大を卒業して10年経ち、美大独特の個性的な人達や空間から離れた生活を送る中で、ふと懐かしさを感じる。

私にとってアート作品を見たり、絵を描くことは、絵を描く楽しさを知った当時を思い出させ、日常から少し離れた癒しでもある。

長年付き合える友達のような存在である絵に出会えた事を感謝しつつ、これからも描き続けていきたい。


△marieさんがが大学時代の頃に描いた作品「黒豹と少女」

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marieさんは、2020年11月にピカレスクで100枚のポストカードサイズの新作をご発表くださる予定です。次回のエッセイも近日公開予定。ぜひ、それぞれご期待ください!

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