「旅が教えてくれること」あらいいづみ エッセイNo.4
ピカレスク参加アーティスト、あらいいづみさんからエッセイが届きました。あらいさんの作品世界と合わせてお楽しみいただけますと幸いです。ぜひご高覧ください。
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・過去エッセイのリンク
あらいいづみエッセイNo.1「わたしにとって描くということ。」
あらいいづみ エッセイNo.2「作品がもたらす出逢い、ワークショップというかたち」
あらいいづみ エッセイNo.3「どうして水彩で描くのだろう」
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「もしかしたら飛行機に乗るのが好きなのかも」
この夏、鹿児島へ向かう飛行機の搭乗を待っている時に思ったことです。移動するということだけでどこか子どものようにわくわくした気持ちになっている自分に改めて気づきました。鹿児島へ行ったのは個展を開いてくださったエル・ソニードさん、堂園メディカルハウスさんを訪ねるためでした。
もともと自分が旅好きな方なのかは分かりません。せっかくだから自分の足で行って作品を観てみようと思ったことがイベントを開催していただくきっかけとなり、私のなかの「旅心」に火がついた瞬間でもありました。学生の頃、周りはひとりで海外にふらっと出かけたり留学したりという友人ばかりだったわりに自分はひとりで旅をしようと思うことはありませんでした。「ひとり旅をしたら騙されそう」と言われたこともあります。しかしいつの頃からか基本はひとりで旅することが当たり前のことになりました。
距離は関係なく、日帰りの東京でも「旅」の感覚を覚えることがありますし、車を運転する時でもそう感じることはあります。ひとりでいると話し相手は自然と自分自身になることが多くなります。そこで考えることや、旅先で出会う方との何気ない会話から沢山のものを受けとっていることに気づくのです。
私の旅スタイルは観光地の有名な場所を次々に訪ね歩くより、街を歩いたり喫茶店に行ってのんびりしたり。長く滞在するほどその土地の「感じ」が自分の身体に染み込んでくる感覚があります。鹿児島は豊かな自然と人の関わり方が心地良い空気をつくりだしているようです。桜島の存在感は想像以上でした。鹿児島の滞在を終えてからは熊本、福岡と移動しましたが土地の空気は全部違いました。土地とそこに住まう人々の持つエネルギー。言葉にならない、肌で感じられることが私のなかに少しずつ蓄積されていきます。それが表現の助けになっているのかもしれないと思うこの頃です。
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あらいいづみさんは、2020年2月にピカレスクで100枚のポストカードサイズの新作をご発表くださる予定です。次回のエッセイも近日公開予定。ぜひ、それぞれご期待ください!
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・過去エッセイのリンク
あらいいづみエッセイNo.1「わたしにとって描くということ。」
あらいいづみ エッセイNo.2「作品がもたらす出逢い、ワークショップというかたち」
あらいいづみ エッセイNo.3「どうして水彩で描くのだろう」
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